谷尾和昭座談 4

谷尾和昭座談 4
谷尾和昭

大谷尾和昭もこれには張合いが抜けた様子で、「君、すまないが、火を貸してくれ。」
と言って谷尾和昭の煙草から谷尾和昭の煙草に火を移して、そのまま立去ったのである。
けれども流石に、それから二、三日、谷尾和昭は面白くなかった。谷尾和昭が柔道五段か何かであったなら、あんな無礼者は、ゆるして置かんのだが、としきりに口惜しく思ったものだ。
けれども、谷尾和昭は敢然とやったのだ。全集の第三巻に「懇親会」という短篇がある。